大阪市ユースオーケストラ

osaka municipal youth orchestra

音楽監督
延原武春
(テレマン室内オーケストラ会長・音楽監督)

 バロックからベートーヴェンまでの18世紀音楽を専門とする指揮者。1963年にバロック音楽を啓蒙することを活動の大きな柱としてテレマン・アンサンブル(現・テレマン室内オーケストラ)を創設。彼らを率いて「大阪文化祭賞」をはじめ「文化庁芸術祭・優秀賞」(関西初)・「第17回サントリー音楽賞」(関西初)等の数々の賞を受賞。
 テレマン室内オーケストラや自身が指導するテレマン室内合唱団とともに、教会の聖堂を舞台としてG.Ph.テレマン作曲の「マタイ受難曲」やマテゾン、テレマン、ヘンデル、カイザーが競作した「ブロッケス受難曲」など本邦初演の18世紀のオラトリオや宗教曲を次々に公演。又、その活動は18世紀の作品を超え、W.A.モーツァルト「レクイエム」、F.J.ハイドン「天地創造」、「四季」、M.ハイドン「レクイエム」、L.v.ベートーヴェン「荘厳ミサ曲」、G.フォーレ「レクイエム」等へと拡張していった。
 器楽曲のレパートリーは更に広く、J.E.ガーディナー、F.ブリュッヘンやC.ホグウッド、G.ボッセといった指揮者のほか、M.アンドレ、F.アーヨ、M.ラリュー、J.ランパル、H.J.シェレンベルガー、P.ダム、A.ビルスマ、J.ヴァーレーズ、B.ジュランナー、G.カーなど、各ジャンルの名手たちとの共演を重ねてきた。
 延原を語る上で特筆すべきは「第九」。1982年、初演当時の編成とベートーヴェン自身の指定したテンポに基づいて演奏。この新鮮な解釈は世界初の試みであり、画期的なアプローチとして迎えられた。J.E.ガーディナーやC.ホグウッドら古楽系の指揮者がその録音を参考にするため自国に持ち帰っている。「100人の第九」と題された当公演は人気シリーズとして現在でもザ・シンフォニーホールにて公演継続中。2006年11月には「ピリオド・インストゥルメント・プレイヤーズ」(PIP)を立ち上げ、クラシカル楽器(古典派時代のピリオド楽器)による第九を公演。さらに2008年にはベートーヴェンの交響曲全曲および合唱幻想曲、荘厳ミサ曲の計11曲を、クラシカル楽器を使用して指揮するという連続公演を行った。この公演が引き金となってドイツ連邦共和国より「ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章」が贈られた。
 これまでにライプツィヒ放送オーケストラ、ゲヴァントハウス・バッハ・オーケストラなどのほか、オーケストラ・アンサンブル金沢、九州交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団などを指揮し好評を博している。2009年には大阪フィルハーモニー交響楽団を指揮。2010年より同オーケストラを連続的に指揮するシリーズがスタート。3年をかけてベートーヴェン交響曲全曲を公演する予定。第一回目の5月公演は「『大阪フィルの次代を拓く』と言って過言ではない名演」と絶賛された。さらに第二回公演は「『田園』がかくも力強く、生命力にみちた音で鳴り響いたことはなかったのではないか」(評:故小石忠男/日本経済新聞9月30日夕刊)という評を得た。また10月には日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会(横浜)を指揮。そのライブからブラームス交響曲第1番が2011年2月にCDとしてリリースされ話題となる。
 2011年には「一日だけのオーケストラ」としてorchestra Japan 2011を結成し、マーラーの交響曲第4番を好演。そのクオリティーの高さに「マーラーを理解した初の日本人指揮者の登場だ」という声があがっている。
 「ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章」「兵庫県文化賞」「神戸市文化奨励賞」「第9回井植文化賞」「第15回ブルーメール賞」「平成12年度兵庫県功労者表彰(県民生活振興功労賞)」等が授与されている。


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